とりあえず全部読んだので感想でも書くか…
読み始めたのが、去年の3月か4月くらいで、古代ローマって実際に存在したのかファンタジー世界の設定なのかの区別も付かない程度に予備知識が無い状態だったわけだが(多分世界史で勉強してるはずなんだが、1bitも記憶に残ってなかった)、全体像ぐらいは把握できただろうか。
買ったのは、おととしくらいで、多分10Pぐらい読んでよくわからんかったので放置してたんだが、ネット解約した影響で家でやること無かったので、続きを読み始めたら、かなりおもしろくて、こことかで「本読むしかやること無い」とか書いてるが、読んだ本の8割くらいこれという感じだったな…
とりあえず、このクオリティで、ひとりで15年かけて古代ローマ1200年分書き上げるというのは、それだけで素晴らしいと言ってよいと思う。
まあ、「史料で明らかになってない部分や人の感情についてはガンガン仮定と推測を入れていく」、みたいな姿勢は、ちゃんと歴史を学ぶうえで良いのかという問題はあるけど、この本については、その姿勢があるからこそ面白くなってる部分がかなりあると思うので、まあ、そういうものだと受け入れられれば、良いことなんではないか、と思う。
以下、色々感想など。といっても、最終巻以外は去年読んだから、あまり覚えてない部分があるが…ちゃんと記録しておけばよかった。巻数は文庫版。
ラスボスが序盤で出てくる
古代では戦争が頻繁に発生する都合上、バトル展開があちこちであるわけだが、一番熱いバトル展開が繰り広げられるのが、対ハンニバル戦で、全43巻中の3,4,5巻という感じなのであった。
これ以降のバトル展開は、
- パルティアとグダグダやってるだけ
- カエサルが強すぎてどっちが勝つか見ないでもわかる
- 蛮族に対応できなくてグダグダやってるだけ
みたいな感じで、結果として、ガチンコ勝負で、やるかやられるか、みたいな展開が最初しかない、というようになってるのだった。
これは、物語の展開として一番面白いところを最初にもっていくべきという精神を自然に体現しているという点で興味深いものがあるが、まあ、それはいいとして、リアルでは「ラスボス」は最初に出てきて、「細々としてくだらない問題」のほうがあとに出てくる、というのは、組織のスケールに関係なくどこでも同じ問題なのか、というような。
ローマの興亡
全体として、一番のテーマは、「何故ローマだけがヨーロッパを制覇できたのか、そして、そのローマですら滅びたのは何故か」という点で、それについては、何回も記述されているわけだが、まあ、やっぱりよくわからん、という感じだな。
スケールが1000年単位なわけで、色んな要因がありすぎて、「こうだから滅びた」と表現できるものでもないのだろうと思う。
まあ、でも、滅びはじめる当時のローマ人の心境は、今の日本人もそこそこ共感できるのではないかなーと思う。つまり、世界最高レベルのインフラを整備して、戦争も無くなって安全が確保された時に、「じゃあ、次どうしようか…」みたいなのがよくわからない感じで、迷走してしまったんではなかろうかというような。
リーダーシップについて
著者は、「なんで2000年も前のリーダーができたことが現代ではできないのか」みたいなことをところどころ書いてるわけだが、当時と事情を同じように考えるのはどうなのかなと思う。
個人的には、
- 当時の「通信」は、コストが高すぎて一般市民が気軽に手を出せるものではない。よって古代では情報と権力を一点に集中させるのは、理に適っている
- 現代は古代と比べてあらゆる分野で専門知識が必要となってるので、個人が把握しきれるものではない。よって現代で情報と権力を一点に集中させるのは無理がある
と、思うので、古代と比べると、現代のリーダーシップがグダグダに見えるのは、仕方無いことではないかと思う。
当時のローマでは、国の端と連絡をとるには、月単位で時間がかかってたことを考えると、現代のトップがどれほどグダグダに見えても、実際に発揮しているリーダーシップの絶対量(て何?)は、古代とは比べものにならない量になっていると考えるべきではないだろうか。まあ、リーダーシップに絶対量というものがあるかどうかは謎だが…
組織で発生する問題
2000年も前なのに組織で発生する問題の本質が現代と何も変わってない感がすごい
- 集権か分権か
- 弱者を救うか強者を応援するか
- 宗教(日本ではあんまり無いけど)
- 秩序と自由
- 不正への対応
これらの問題が解決できると思わないほうがいいということだろうね…
小麦
なんか農耕民族でほとんど小麦しか食ってないみたいな印象がある。(実際はもうちょっと色々食べてたと思うが)
日本人は、「肉ばっか食ってる外人に勝てるわけがない」みたいなコンプレックスが微妙にあると思うが、「小麦ばっか食ってる奴が武力でヨーロッパを支配した」という反例があるというのは覚えておくべきではないですかね…
ローマ vs 中国
一回くらいやって欲しかったな…やる理由が全く無いけど…
