立ち退き料みたいなゴネ得文化は早く滅びないかね…

立ち退き料みたいな文化は早く無く滅びてほしいという話、および、立ち退き料の交渉を雑にしてしまってなんか後悔している感じの人に、それで正しかったんだ、と思って欲しい、という主張。


さて、(俺の脳内で)好評の隣の家シリーズ、俺の家の今後シリーズですが、とうとう立ち退けと言われたので、当シリーズは10月をもって最終回となりました。次回の俺の家シリーズにご期待ください。


まあ、大崎駅徒歩10分品川駅徒歩25分で山手線内側という比較的東京の中心なのに築40年という理由だけで2K/22m^2の部屋が6.3万というなんかもったいない部屋だったので、そのうち土地運用する系の人にうまくやられて立ち退くことになるんだろうな、という気がずっとしていたので、大体予定通りという感じであった。

で、日本の法律的には、大家のほうから立ち退きを要求する場合は、半年以上前に書類で予告するか、「立ち退き料」というものを払うかしないといけないらしい。んで、今回は、なんか、10月か11月までに退去してほしい、という感じで、僕もその立ち退き料をもらえる立場になった…というのが、今回の話である。


あんまりよく知らなくて、その話を聞いたあとに調べたんだが、

  • 最低金額も最高金額も法律では決まっていない
  • 相場は家賃6〜12ヶ月くらい

という感じらしい。今家賃6.3万なので、相場を考えると、35万〜75万くらい。

最初に向こうの提示してきた額は、30万で、相場を知らなくて話を聞いてたので、「うわっ・・・わたしの立ち退き料、高すぎ・・・?」という感じだったが、最初に言ってきたからには、予定では、その倍くらいもらえるのかなーと予想して(相場を考えると、妥当だったんではないかと思う)、なんとか、引き上げる理由をその場で考えようとしたのだが、特に思い付かない感じだったので、30万でいいです、とした。


ここで、問題は、「高すぎ・・・?」というくらいのお金を貰ったのに、なんか負けてしまった気分になってる、と、いうことである。
個人的なポリシーとして、「ゴネた奴が勝つ」みたいな仕組みは社会全体の生産性を下げてるから、なるべく関わらないほうがいいと思ってるので、人生のポリシーにあってるし、というか、立ち退く覚悟はできてたし、敗北している点なんか全く無い…無いのだが…しかし、この、なんとも言えない後悔の気分は…どうしたらいいんだ…


調べてる感じだと、立ち退きイベントは、大家のほうにとっては結構恐怖のイベントっぽい感じらしいのだが、それの原因って、この「後悔の念」が原因だと思うのだよな…
すなわち、「交渉次第で百万円獲得も夢じゃない」というイベントが向こうから勝手に転がり込んできたときに、「面倒だから10万円でいいです」と、言えるだろうか、多分最初は言えるだろうけど、実際に退去するまでの数ヶ月間、その意思を貫くことができるだろうか?途中で、「いや、やっぱりもうちょっと理由付けてなんとかしておくべきだったんではないかな…」と、いう気分にならないだろうか?
「百万円」という金額と、「数ヶ月間の猶予」という両方の条件が揃ったときには、大半の人が、「もうちょっとなんとかしてみるか」、とか、考えるのではないだろうか。というか、今現在僕がそう考えてるわけだが…
このことは、確実に余計なトラブルを発生させていると思う。

(個人的には善良な市民が大半だと考えているので、それを前提とした場合)安定した収入が得られるはずの貸家を持つ大家が、わざわざ立ち退きを要求しないといけない状況があった場合、大抵の場合、大家のほうに、困ったことが発生していると考えるべきで、立場として弱いのは、大家のほうではないか、と思う。
そして、その場合、「こういう事情で立ち退いて欲しいのですが…」と、直接話しあえば、(善良な市民が多数だとした場合)それで問題の半分以上は解決されるはずである。しかし、「百万円」という金額と、「数ヶ月間の猶予」という両方の条件が揃っている為、善良な住民でも、その誘惑に負けてトラブルを発生させてしまう、という可能性はかなりあるのではないかと思う。
個人的には、「善良な市民同士が、生産性0のトラブルを発生させる」というのは、非常に悲しいことだと思う。
(もちろん基本的には、悪の大家が弱者から吸い取るのを防ぐというのを目的としてるんだろうけど、最終的に「交渉で決めてください」となってるので、弱者の救済にもなってないのではないかと思う。)


と、いうわけで、立ち退き料というのは、基本的に悲しい事件を大量に発生させてそうなので、早く滅んで欲しいなぁ…という話だった。



んで、ここで出てくるのが、例の謎の会社である。
謎の会社だったので、何やってるか聞いたのだが、大体

  • 賃貸を持ってる人を探す(謄本で探すらしい)
  • そこに電話をかける
  • 大家さんが希望すればその物件を買い取る
  • 立ち退いてもらう
  • その物件を他の人に売る
  • (情報技術のITとは全く関係が無い)

と、いうようなことをやってるらしい。
ひとことで言うと(そうは言わなかったけど)、「代理で立ち退き交渉をやる会社」なんではないかと思う。


「立ち退きはトラブルになりやすい」という事情があったために、「立ち退きトラブルを肩代わりします」という会社が誕生した、というわけである。


で、この時、この会社の存在によって、僕の敗北感は加速されるのだった。


以下は、完全に推測だが、(僕の敗北感は僕の脳内で完結している問題なので、推測が存在するだけで十分である)

  • 立ち退き交渉のプロであるからには、ゴネ得バトルで勝利する能力は平均レベルを確実に上回ってるはず
  • 代理で立ち退き交渉をするからには、それなりの金額、すなわち今回の場合だと、少なくとも60万以上はオリジナルの大家からもらっているはず

と、いう二つの事情があるはずだ。


この時、僕は、立ち退き料を相手の言い分で貰ったにもかかわらず、僕の人生のポリシーを貫けていない。すなわち、僕があっさりと交渉を終わらせる行為は、「ゴネ/ネゴ能力だけで世間を渡ってる人達」に有利な行為となってしまっている。


大家さんとは、月に一度、家賃払うときに顔をあわせていただけだが、しかし、それでも、4年以上も近くに暮らしていた都合上、どちらかというと、良い感情を抱いてる感じなので、僕の行為が大家さんの有利に働いていれば、納得できる場面である。しかしっ…「立ち退きはトラブルになりやすい」という事情があったために、僕のポリシーを貫くことが不可能となってしまったわけだ。


ゴネ得社会は、交渉能力が高い方に有利になる…究極的には、法律に触れない範囲で恫喝する方法を知っている人達に有利になるはずである。必要以上にそういう社会になってはいけないと思う。




えーと何が言いたいんだ。


つまり、「立ち退き料の交渉をしない」という自分の判断が正しかった、と信じたい。
すなわち、「引っ越しは気分転換」ぐらいに考えているひとり暮らしの人間は、立ち退き料を必要以上にもらうべきではない。


理由は以下二点。

まず、社会全体の生産性、という点。社会全体の生産性を向上させる原則のひとつに、「困っている人をそれ以上追い詰めない」というのを入れてよいと思う。(土地持ちと借家住まいなら絶対量でいくと後者のほうが弱者っぽいが、絶対量は、そんなもんだと受け入れて、相対的には)「家を手放さないといけなくなった」という状態の大家のほうが住人より困っているはずである。その時、「次の家賃払えない」とか、「引っ越すお金が無い」とか、の事情が無い限り、不必要に大家を追い詰めるのは、社会全体の生産性的に、あまり良いことではないと思う。
また、善良な市民同士で、不必要な金銭のトラブルを発生させるのは、確実に社会全体でマイナスである。


次に、ゴネ得社会は最終的に自分の不利に働くという点。交渉能力に特化した人間が社会にいる以上、一般人は、交渉能力でアベレージに立つことはできない。ゴネ得文化の究極の世界では、一般人は搾取される側である。ゴネ得文化の促進に手を貸してはいけない。


そして、僕と似たような状況になっている人に、「あなたは正しい」と、主張したい。


…大体書いたらスッキリした。むしろ30万も必要無いな…という気分。