ネットブックにはもっと普及してほしかった

僕はハードウェアを作れないので、十分に統一されたプラットフォームであるPCがもっと普及してほしくて、そこらへんの願望から、去年は「最終的にネットブックが世界を統一する」と、主張していた。残念ながら、ネットブックの流行は終わって、スマートフォンとかへ行ってしまったのでそういうのは妄想で完結してしまった。けど、寂しいので、去年ぐらいの考えを書いておく。(妄想の最大値みたいな話で、本気で考えてたわけではないです)


個人的には、ネットブックがコンピュータの標準プラットフォームみたいになってほしかった、という話。

ネットブックが他のポータブルなマシンと比べて圧倒的にすばらしいのは、それがPCだという点だ。これは、プログラマの観点からすると、極めて重要な点である。

僕の願望として、「コンピュータの歴史を作るのはハードウェア屋でなくてプログラマであって欲しい」と、いうのがある。これはかなりシリアスな願望で、これが無理ならもうプログラマやめてしまおうと思ってるくらいである。

僕の経験によると、日本(というか多分世界)のプログラマが3Kになってしまう理由は、プログラマの仕事はその製品仕様に大いに影響を与える仕事であるにも関わらず、製品仕様を決めるほどの権限を持てない、という歪みからきているだろうと予想されている。


この予想が正しいとすると、プログラマが3Kをやめるためには、製品仕様決定の主導権をソフトウェア側に持ってこないといけない。

プログラマの権力を増大させるためには、「顧客のニーズに応えるために最優先すべきはソフトウェアであり、ハードウェアは仕様を実現するためにソフトウェアに従って設計されなければならない」、という文化を作る必要があり、「ハードウェアが一緒でも、ソフトウェアが違えば、最終的なユーザの使い心地は全然違うものになる」ということを証明する必要がある。
AndroidiPhoneの違いが、ハードウェアでなくて、ソフトウェアにある、ということを製品仕様を決定する人たちに知っておいて欲しいと、いうような感じ。


さて、その時に、ハードウェアプラットフォームが色々と存在していては困る。ソフトウェアの品質を高めるためには、そのソフトウェアのコピーの数を増やす必要があるが(まあ、1000万円出してくれる人がいるなら別にいいけど…)、ハードウェアが統一されていなければ、ソフトウェアのコピーの数は増やせない。
例えば、GP2Xとかは、あらゆるソフトウェアを書くために必要な資料は全て揃っているわけだが、まさか、GP2XのためのOSを書こうなんていうのは、人生の無駄遣いもいいところだろう。
というか、そもそも、ハードウェアを試作してからでないとソフトウェアを作れないとなると、仕様を作る主導権はハードウェアに握られてしまう。


このような理由により統一されたハードウェアプラットフォームが欲しいのである。このとき、この世で最も普及したハードウェアプラットフォームは何か?と、いうと、それがPCなのだった。

もし、Androidタブレットが、vanillaカーネルが動くほどに普通のPCだったとして、謎のドライバを書くのに費やされたプログラマ工数が全てUIを洗練させるほうに使われていたとしたら、「iOSと比べて後発なのにダサくてもっさり」というAndroidの残念さはもう少しマシになっていただろうと思う。
さらに、UIを洗練させるのに使われた工数は、ハードウェアが変わっても無駄になることはない。だが、ドライバを書くのに費やされた工数は、残念ながら来年には全て海の藻屑となっているであろう。プログラマ工数が無駄遣いされているのだ。我々の工数を無駄にしないで!!


あと、PCぐらいに普及したプラットフォームならば、「Androidもっさりだから新しいOS作ろうぜ」というような衝動もギリギリ許される範囲である。このことは、プログラマの妄想という意味で非常に重要である。プログラマならば、一度は「自作OSが世界制覇」という妄想をするものである(フィクション世界のスーパープログラマが、OSを自作しがちなのがそれを証明している)。この妄想にリアリティを持たせるためには、ハードウェアが統一されている必要がある。


すなわち、僕の妄想では、以下のような感じだった。

  1. 世の中のコンピュータがPCで統一される
  2. コンピュータの使い易さはソフトウェア依存になる
  3. プログラマの地位が向上する
  4. プログラマに仕様の決定権が生まれる
  5. よりよいソフトウェアが生まれる
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まあ、残念ながら、こういうようにはならなかったわけだが…個人的には、とりあえず動くだけの2万ぐらいのネットブックが出て、それが全世界に普及するみたいな妄想をしていた。

いや、2万のネットブックどっか出してくれないですかね

  • キーボード、液晶、タッチパッド、バッテリはとりあえず動くレベル。
  • ソフトウェアのカスタマイズは一切無し。vanillaカーネルと普通のGNOMEが動く(とか普通のUbuntuが入ってるだけとか)

みたいな感じでいいので…なんとかならないですか?(誰に聞いてんの?)


あと、去年ぐらいには、「Windows/Office動くのが重要」とか主張していた。けど、これは、CULVが普及してあまり意味が無くなったのでもうどうでもよくなった(Windows/Officeを買う金があるならCULVは安い)。